注文住宅

程よい距離を感じながら美しく住まう中庭のある家 – tongarihouseさん

家の中心に配置された中庭が程よい距離感を生みながらも、空間的なつながりをもたらしているtongarihouseさん邸。自身の感覚に耳を傾むけることで理想の空間を実現されたというおうちは、写真を介してもその研ぎ澄まされた暮らしが伝わってくるほど。注文住宅だからこそ実現した、中庭を介して自然を愛でる1階部分や、隔てる壁のない2階部分。その自由な空間設計は必見です。

お住まい:神奈川県

ハウスメーカー:フリーダムアーキテクツデザイン株式会社
構造:在来軸組構法(木造)

敷地面積:50坪
延床面積:30坪

家族構成:夫、妻、猫

打合せ期間間取り:1年(月1~2回程度
内装:1年(月1~2回程度)

程よい距離感が美しい1階空間

中庭を中心とした間取りが印象的なtongarihouseさん邸。玄関から左右に分かれたリビングとダイニングキッチンは、程よい距離感がありながら、中庭の窓越しにつながりも感じられます。

LDKといえば通常一部屋で完結するため、ある程度広いスペースをとることができますが、tongarihouseさん邸では分散させているにもかかわらず閉塞感を感じず、むしろ解放感あふれた空間になっています。

“普通”ではない空間を求めて

当初は、リビングとダイニングキッチンをつなげて一部屋にするという案も出ていたそうですが、ただ普通につながった” LDK″とよばれる空間にはしたくなかったというtongarihouseさん。

そこで、家の中心に中庭という、繋がりを感じさせながらも視線が外へ抜ける場所を設けられました。

個々の空間が独立していながらも閉鎖的ではなく、どこにいても家族の存在を感じられ、それでいてプライベートは守られる。そのような空間は、この中庭があるからこそ。

家に入っても外のような解放感

お住まいがあるのは、緑に囲まれた豊かな地域。家に入った瞬間から急に閉鎖的な空間にはしたくないと、玄関の正面に中庭を持ってくることで外とのつながりを感じられるよう意識されています。

ドアを開けるとまず目に飛び込んでくるのが、シンボルツリーである中庭のシマトネリコ。

リビングとダイニングへ分かれる起点となっている玄関ですが、ここでも中庭が重要な役割をはたしています。

なんとなく、の感覚に従った家づくり

随所にこだわりが散りばめられている印象を受けるtongarihouseさん邸。

ですがこの美しい空間は、”こだわったから” ではなく、”なんとなく” という自身の感覚に正直に従った家づくりをしたことで叶えられたのだそうです。

「こだわりって実は本当になくって、ただ楽観的にこんな空間がいいなぁって思って家づくりをしました。お料理をするなら、こんな空間。家事をする場所は、できればすべて1カ所にまとめたい…などですね」

感覚的に決めることで、家事動線までも綿密に考えたかのような間取りになっているのですね。

追われるものがない、時間を忘れる暮らし

そんな、感覚を素直に表現された家にはテレビがありません。
テレビどころか、家電も時計もありません。あるのは、Bluetoothで聴けるワイヤレスのスピーカーのみというのは驚きですね。

ただしそれも、tongarihouseさんが “ただただ、のんびり、ゆっくりできる空間″ を作りたかったからこそ。

中庭で隔てられたリビングとダイニングキッチンも、そんな過ごし方に効果的とのこと。

「LDKが一体だと、ついつい家事をしちゃったりキッチンが気になったりしますよね。そんなことがないんです。堂々と家事がサボれます。我が家のリビングの良い所です」

時間にも追われず、家事にも追われない、世間の喧騒とも隔絶された空間になっているのですね。

私たちらしい家になりました

親世代の方や、機能重視のおうちに住まわれているご友人には、「まぁとっても住みづらそう」と笑われることもあるというtongarihouseさん邸。

ですが、tongarihouseさんご自身は不便を感じたことがないそうです。

それは、いわゆる住めば都だからというようなことではなく、tongarihouseさんの感覚を反映したおうちだから。自分らしさを体現した家は、tongarihouseさんの暮らしにやさしいつくりになっているのです。

「こうしたら良かった」という点があるとしたら、中庭をウッドデッキにせず、地面のある場所にしてモミジやアジサイなど季節の草木を植えられるようにしておいたら、という点だそうです。しかし、居室とフラットに繋がっているウッドデッキのおかげで、掃除は楽ちん。

「とにかく掃除が嫌いなので、繋がっているおかげで、掃除のバリアフリー化が出来ました 笑」

澄んだ空気を感じるダイニングキッチン

お洒落にディスプレイされた背面カウンターや飾り棚、横長の窓からの眺めが美しいキッチン。

Instagramにあげられたお写真を拝見していて、背面収納も吊戸棚もないことに気づきました。新築の際、吊戸棚をなくすことがあっても、背面収納をなくすという選択はなかなか思い切れないことも多いかと思います。

しかしtongarihouseさん邸では、澄んだ空気が感じられ、自然に引き込まれるかのような空間の実現を優先し、「背面収納をなくす」という点も含め、設備や窓の配置、内装など、ひとつひとつの選択がなされています。

野鳥や木の葉のそよぐ眺めも楽しめる空間

料理は好きな方だというtongarihouseさん。

お写真からもその腕前が伝わってきますが、そんな美味しいお料理を作る場所であるキッチンは、家の中で一番長くいる場所でもあるため、過ごしやすく、気持ちの良い空間にしたいと思われていたそう。

先述の通りリビングとは中庭で程よく仕切られているため、この場所はtongarihouseさんにとって、いわば自分だけの空間。

風に揺れる中庭の木の葉や、差し込む陽の光の反射、時々遊びに来る野鳥…そんな自然を感じられるキッチンは、フルオープンのアイランドキッチン。

掃除が苦手だとおっしゃるtongarihousesさんにとって、手元を隠すことができないフルーオープンタイプのキッチンは、常にきれいを保とうと心がけることができるため、とても性に合っていたそうです。

シンプルな機能のアイランドキッチン

吊戸棚や食器棚などの収納は持たないため、食器や調理器具は、すべてアイランドキッチン内の収納スペースにしまっているそうです。

また、魚はお魚シートを用いてフライパンで焼くことができるため、魚焼きのグリルもつけないシンプル機能のキッチンにされています。

「そもそも焼魚は、友人達が営んでる和食屋や割烹へ食べに行ってしまいます 笑」

と、自身の生活に合わせた取捨選択をしっかりとされている点も印象的です。

自然と実現した持ちすぎない暮らし

食器や調理器具にもこだわられ、厳選されたものだけを使われているtongarihouseさん。

アイランドキッチン内の収納という限られた場所を上手に生かすため、”増やすなら、何かひとつ手放す”と、多くを持ちすぎないよう気を付けていらっしゃるそうです。

「電子レンジもマンション暮らしの時は使っていませんでした。今は縁あって使用していますが、多分なくても大丈夫な人です」

便利なものはかえって使わなくなってしまうというtongarihouseさんですが、自身に必要なものとそうでないものをきっぱりと判断できる思い切りの良さも、この空間の美しさを引き出しているのかもしれません。

立体的なつながりが美しい2階空間

吹き抜けが生み出す、立体的なつながりが美しいリビングと2階部分。

リビングと階段の吹き抜け内を横切るように配置されたオフィススペースと、その奥にあるスキップフロアの構造は、tongarihouseさんの提案により実現したもの。

シンプルなつくりでありながら、楽しくなる。そんな遊び心に溢れた空間は、リビングにいて上を見上げた時の景色、2階から見下ろした時の景色が、”こんな感じだったらいいな”という思いをかたちにされました。

壁をなくすという選択

そんな2階部分には、空間を仕切る”壁”がほとんどありません。

当たり前のように壁を作り、閉鎖的にすることに違和感があったというtongarihouseさん。

壁を取り払ってしまうことで、抜け感をだし、息苦しさを感じない開放的な空間をつくりあげています。

吹き抜けと階段部分のデッドスペースを有効活用して配置したというオフィススペースからは、大きな窓を介して中庭のシンボルツリーや景色を感じることができ、まさに「空中のオフィス」とも言えますね。

そんなオフィススペースから階段を5段ほど上がったところにあるのは、多目的スペース。

このスペースはアイアンの手すりのみで仕切られたスキップフロアになっています。

この場所にはソファーを置いているため、洗濯物を畳みながらうとうとお昼寝をしてしまうこともあるそうです。また、泊りに来られるご友人が眠る場所としても活躍しています。

「この空間は、我が家の素敵な部分なのかなぁって勝手に思っています。写真だけではわかり難い部分もありますが、実際に来ていただくと、とても気持ちが良い空間と感じてもらえると思います。ただし、高所恐怖症の方はおすすめできないですが 笑」

水平ラインの美しいフロアや階段に、屋根の形状を感じられる勾配天井、そしてシンプルなデザインのアイアン手すり…ため息が出るほど美しい空間になっています。

シンプルな美しさを追い求めた空間

階段や多目的スペースに用いられているアイアンの手すりですが、当初はもっと複雑なデザインのものになる予定だったそう。

予算の関係もあり極力シンプルにされたそうですが、かえってそのシンプルさが家を構成する壁や窓、天井などの要素と相まって、美しさをプラスさせてくれているように感じます。なんとこのデザイン、雨の日には洗濯物がたくさん干せるというおまけつきなのだとか。

このように、自分らしく美しい住まいに暮らすtongarihouseさんにインタビューした際にいただいた言葉がとても印象的でしたので、ご紹介させていただきます。

tongarihouseさん:

家づくりって、どうしても足し算が多くなり、せっかくの空間がごちゃついてしまうことが多い気がします。

一生ものの買い物ですから、どうしても今完結したい気持ちも分かりますが、

年齢を重ねたり家族が増えたり、

気持ちの変化や好きなものの変化で暮らしも変わってきます。

そのときに極力、家はシンプルでいたいと思いました。

暮らしながら創っていく空間といいますか、

それができるんじゃないかなぁと思い、

その楽しさが家を完成させる楽しみなんだと思います。

編集後記

どこを切り取っても惚れ惚れする眺めのtongarihouseさん邸。

きっちり計画し、たくさんのこだわりを詰めこんだからこそ実現した家なのかと思いきや、あくまでも自身の感覚に素直に従うことでつくりあげたというtongarihouseさん。

“こういう空間が好き”、”こんな風に暮らしたい”という想いに正直になることで、結果的に綿密に計算されたかのようなおうちを実現されているとは脱帽です。

そして、家とは家づくりの際に完結させるのではなく、「暮らしながら創っていくもの」という考え方も、「あぁしていれば、こうしていれば」ばかりの私にはとても新鮮で印象に残る言葉になりました。

tongarihouseさんの豊かな感性に触れたことで、私自身、もっと気負わず暮らしを楽しんでみたいと思うことができました。ありがとうございました。

■今顔話をお伺いさせていただいたかた
tongarihouseさん

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Daiwa House 〜中庭のある暮らし〜 おうちが大好き♡ ❀シンプルホーム編集部