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ふたつの回遊動線が生活にゆとりをもたらす、意匠性あふれるお家 – r__kuro.__さん

広々と設けた廊下が2つの回遊動線を生み出し、生活にゆとりを与えてくれているr__kuro.__さん邸。大容量の収納スペースや、人目を気にせず庭を愛でることのできる縁側は注文住宅ならでは。テレビの配線やカーテンレールなど、無駄のない空間設計も必見です。

基本情報

お住まい:中国地方

ハウスメーカー:設計事務所
構造:2×4 -ツーバイフォー工法(木造)

敷地面積:90坪
延床面積:44坪

家族構成:夫、妻、息子2人

打合せ回数(または期間)間取り:5回
内装:5回

玄関から始まる回遊動線は見た目も機能も美しく

玄関ドアを開けると、黒い上がり框や板張りの壁、タイル床が美しく調和した空間が広がっているr__kuro.__さん邸。

土間から玄関ホールへと進むと右手に現れるのはシースルーの鉄骨階段。そしてその階段横から「贅沢」とも言えるほどの廊下が伸びています。

"廊下のない家"が主流となった今、この廊下は、"余白"のような存在として空間にゆとりをもたらすだけではなく、2つの回遊動線が重なるポイントにもなっているそうです。

その2つの回遊動線とは、

1つ目:玄関土間→シューズクローゼット→トイレ前→洗面室前→階段横廊下→玄関ホール→玄関土間

2つ目:リビング入り口→キッチン通路→洗面所→階段横廊下→リビング入り口

という動線です。

このように、どちらの回遊動線も階段横廊下を通るようになっており、一見贅沢なスペースにも思える廊下が、重要な役割を果たしているのです。

生活感を隠してしまう大容量のシューズクローゼット

2つの回遊動線を叶えた廊下には、空間に表情を与えてくれる板貼りのシューズクローゼットがあります。

"シンプルにすっきりと暮らしたい"をテーマに家づくりをしていたr__kuro.__さんご夫婦。

子どもの成長とともにお子さん関連の物が増えていくなかで、生活のしやすさを優先すると玄関まわりが物で溢れてしまうというジレンマを抱えていらっしゃいました。

そんな悩みを解決するために作られたシューズクローゼットは、大容量サイズ。靴だけでなく、傘や子どもの通園バッグ、習い事の道具、学校で使う道具が収納できるようになっています。上着をかけることのできるバーも備え付けたため、外出時の身支度をここですべて済ませることができるそう。

また、扉を閉めてしまえば中が見えない設計になっているため、玄関まわりはいつもすっきりさせておくことが可能になっています。

さらには、玄関土間からトイレや洗面所へと抜ける動線も兼ね備えています。

玄関の顔にもなる板貼りのデザインで

そんな動線と機能性に配慮したシューズクローゼットは"一つの箱"をイメージした設計。モデルルームで「板張りの壁×鉄骨階段」の組み合わせに一目惚れされたことがきっかけで、"箱"の素材は木を選択。NISSIN EXのリアルパネルを採用されたそうです。

意匠性にまでこだわったことで、キッチンの室内窓を通しての眺めもとても美しいそうです。

廊下がもたらした暮らし

家づくりをはじめられた当初は「廊下は無駄な空間。廊下の無い家にする!」と考えられていたというr__kuro.__さん。建設中も「この空間もったいないな…」と思われることがあったといいます。

しかし、大容量のシューズクローゼットや回遊動線を実現するための肝でもあるこの廊下は、住まわれているうちに「もったいないというより贅沢な空間。素敵で魅力的だな」と思うようになられ、今ではとても気に入っていらっしゃるそうです。

廊下と鉄骨階段が生み出す余白のような空間は、ホテルの回廊のような印象をあたえてくれ、家のアクセントになっています。

長く続く縁側に面したリビング

玄関から廊下と鉄骨階段を横目に進み、ドアを開けると広がるのは、無駄なものが削ぎ落とされたLDKスペース。

リビングには、テレビの配線やブラインドのレールなどが見あたりません。

配線が乱れないテレビ周り

リビング正面には間接照明が施されたモールテックスの壁があり、テレビのみが掛けられています。このテレビ周りはご主人の一番のこだわりポイント。「テレビは壁掛けにし、配線は隠す。TVボードも要らない」と、当初より細やかな部分まで配慮したつくりを希望されていたそうで、設計士の方と何度も話し合われたそうです。

その結果、TV背面の壁をふかして配線を通し、リビング横にある小上がりの和室下の引き出し収納に納めるという設計になったそう。

その収納の中にレコーダーやゲーム機も入れてしまうことで、壁掛けにしたテレビ本体以外、余計なものは何も見えないつくりになっています。

天井高の窓から外の景色を愛でる

テレビがかけられた壁から視線を外に向けると、ご夫婦ふたりの思いを形にした縁側が広がっています。

以前のお住まいが人通りの多い道路に面していたこともあり、カーテンを閉め切って閉鎖的な空間で生活をされていたというr__kuro.__さん。

「もし家を建てるなら人目を気にせずに景色を楽しんで住める家にしたい、中庭などを作って開放的な空間にしたいね。」と常々話されていたそうです。

そんな中で出会った土地は、高低差があり外からの視線が気にならないという最高の立地。ご夫婦の希望である縁側を重視しながら、リビングの仕様を細部まで決めていったそうです。

内と外とをつなげる工夫

縁側を中心として計画されたリビングは、縁側と室内とのつながりを感じさせるために窓まわりに以下の5つの工夫を凝らしていらっしゃいます。

①縁側のジョリパットで塗られた外壁と、室内のテレビ壁に施されたモールテックスとの色味と合わせることで、壁が室内から屋外へと続いている印象をあたえること

②室内から縁側の軒のレッドシダーが見えるようにすることで、内と外とのつながりを感じるようにすること

③天井高の窓を採用し、シームレスに繋がる空間を演出すること

④バーチカルブラインドのレールを天井に埋め込むことで、内から外への視線を邪魔しないこと

⑤バーチカルブラインドは、開けた際のたたみ代が窓にかからないようにすること

カーテンを閉めない暮らしは深呼吸したくなるほど

細部まで趣向を凝らした窓からの眺めは、思わず深呼吸したくなるほどの美しさ。

カーテンを開け放って過ごす毎日は、お庭の木々から四季を感じることはもちろん、お子さんたちと「面白い形の雲があるよ」「空の色が綺麗だね」「鳥が遊びに来てるよ」など景色を楽しむこともでき、生活が豊かになったと感じることが多いそうです。

まさに、立地を生かした家づくりを叶えられました。

縁側を通じて憩う家族の時間

暮らしに彩りを与えてくれる縁側の奥行きは134cm。深い軒が夏場の暑い日差しを、そして縁側横の外壁が外からの視線を遮ってくれるため、とてもくつろげる空間になっているそうです。流し素麺やBBQをしたり、お菓子を食べたり、家族でごろごろしたり…と沢山の時間を過ごされています。

生活感のないキッチン

家づくりをはじめる前に訪れたモデルハウスで一目ぼれされたというキッチンハウスのキッチン。それ以来、家を建てるときは絶対にキッチンハウスにする!と心に決めていたそうです。

そんな想いを実現したキッチンのカラーは無機質な中にも上品さを感じるピアノべトン。カラーをそろえた天板と面材は厚みの薄いものを選ぶことで、接着面がスマートに見えるようにされたそうです。

足元に設けた高さ6㎝の蹴込み(けこみ)はキッチン本体に浮遊感を与え、デザイン性を感じさせてくれます。また、この6㎝というのは掃除の面でも絶妙な高さになっており、ちょうど掃除機が入るため、きれいな状態を維持できるそうです。

デザイン性も重視した収納部分

キッチン前面は収納をたっぷり設けたいとの思いからすべて収納に。薄い面材を用いたこともあり見た目には扉があるとは思えないほどシンプルでスタイリッシュなデザインになっています。

キッチン背面に採用されたカップボードも同じくキッチンハウスのもので、カラーはフォックスグレー。なんと3.5mもの長さがあり、主に食器や米櫃、ストック食材を収納されているそうです。1番右側はリビング、ダイニングからもアクセスしやすいことから文房具収納になっているのだとか。

生活感の出るものを集約したパントリー

キッチン奥には、冷蔵庫やごみ箱、電子レンジなどを収納するパントリーがあります。家電全般をすべて収納できる広さを希望されていたそうですが、動線を優先することで現在の広さになったそう。

ここにもできた!回遊動線

パントリーの広さを断念して確保したキッチンから洗面所への動線は、先述の2つ目の回遊動線"リビング入り口→キッチン通路→洗面所→階段横廊下→リビング入り口"、を生み出すきっかけにもなっています。

料理の合間に洗濯をしたり、子どもたちがお風呂に入っていてもすぐ様子を見に行けるため、とても重宝していらっしゃるとのことです。

キッチン横づけのダイニングテーブル

最後にダイニングについてもお伺いしました。r__kuro.__邸のダイニングスペースは、リビング入り口近く、キッチン横にある間取りになっています。キッチン本体にダイニングテーブルを横付けすることで配膳がとても楽で、お子さんたちの「あれが無い、あれ取って!」などにもすぐ対応出来る、おすすめの配置になっているそうです。

キッチン側面のダイニングテーブル天板より少し高い位置にはコンセントもつけていらっしゃるため、ホットプレートを使用する際やスマートフォンの充電などにもとても便利だそうです。

「回遊動線を意識した我が家ですが、とても生活しやすいです。少しの距離でも一生住む家なので動線をよく考えて間取りを決めるととても生活しやすく、快適に過ごすことができます。」

編集後記

廊下があるからこそ叶えられた、動線の良いゆとりのある暮らし。私自身も家を建てる際、いかに廊下のない家にするかと考えた経緯もありましたので、この廊下を生かした設計にはとても驚き、感銘を受けました。

そして、リビングの壁をふかして配線を小上がりの和室収納へ出したというテレビ周り。設計当初に掲げた"シンプルにすっきりと暮らしたい"というテーマを実現するために、細部までこだわり抜いたことで叶えられた美しい空間になっています。

決めることが多く途中で優先順位が曖昧になってしまいがちな家づくりでは、テーマを設け、テーマに則り細部を決めていくことで、自分たちらしい、そして理想も叶えた家が実現できるのだなと実感しました。

r__kuro.__さん、ありがとうございました。

■今回お話を伺わせていただいたかた
r__kuro.__さん

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Daiwa House 〜中庭のある暮らし〜 おうちが大好き♡ ❀シンプルホーム編集部